植物への適切な水やり方法とは?

植物の特性と水やり

光合成や蒸散という活動のためには水が必要です。

植物が成長や生命維持をしていくには、水が必要ということですね。

サボテンや、亜熱帯・高山植物のように、植物によって適した気候標高PH値(酸性かアルカリ性か)土壌硬度日照養分があります。


たくさん水を吸う植物は細かい根がいっぱい生えていたり、背が高く常緑で倒れやすい樹では地下深くまで直根を伸ばして水を多く取り入れようとする樹もあります。
根を見れば、その植物が元々はどういう環境にいたのか推測できるかもしれません。


日本には四季や雨季があります。私たちの庭に植えられている樹は、もともと寒い地域が苦手だったり西日が苦手だったり塩害に強かったりと、得手不得手があるものがひとつの庭に集まっています。
植物の特性を理解したうえで管理をすることが大切です。

水やりに必要な道具

水やりに必要な道具とは、「水」を植物に与えることができるものです。

ジョウロやバケツ、なんならホースで直接でもかまいません。

ただし、植物の大きさや種類によっては水の量水圧は考慮しなければいけません。

少量であればジョウロでもよいですが、庭全体に与えるときや鉢植えが多い場合は、水の形状や量を調整できるヘッド付きホースがおすすめです。
ホースは長すぎると絡まりにくかったり、保管が大変だったりするので、納めやすいものが良いですね。

水やりの方法

水やり。潅水(灌水)とも言います。

水やりをする時間帯

水はいつやればいいでしょうか?


植物は、日中に水と二酸化炭素と太陽光で光合成をして、葉から根に養分を送ります。
夜になると日中に蓄えた養分を全体に送り、水分と二酸化炭素を排出します。これが蒸散です。

では、活発に活動する日中と夕方に水やりをした方が良いでしょうか?

私の経験上、夕方の潅水(水やり)を勧めます。

できるなら表面の土が乾いた頃を目安にあげたいですが、そう付きっきりでいられませんので、できれば朝にたっぷりあげましょう。夏場は夕方たっぷりあげると蒸散ばかりで体力を使ってしまうので、あげない方が良いという考えもあります。
葉が縮んでいたり、枝が内側に沿ってきたら水切れのサインです。そうなる前に水をあげましょう。

水やりをする場所

水はどこにやればよいでしょうか?


植物は根に水が欲しいので、に与えます。

乾燥防止の為に葉にもやりたいところですが、水滴がレンズの役割をして葉が熱を持つことがあります。夏場の暑い時期にはできるだけ避けた方が良いと思います。

幹元に水をやるのは正しくありません。水を吸収する細根は根の先の方に多くあり、また水のある方向に根は伸びていくので、幹から離れたところにたっぷり水をあげるようにするといいと思います。

水の量はたっぷりと

水の量は、鉢植えでしたら、鉢底から水が出てくるくらいしっかりあげます。
保水性のある土で植えてあげておくのもいいですね。

水やりの注意点

水やりの注意点です。
植物は熱湯が苦手です

夏場はホースがすぐに熱くなるため、水の出し始めは注意が必要です。しばらく出して冷たくなってから水を与えましょう。

土壌の硬度や透水率によって、水の保水率も違ってきます。

広島県内の住宅地で使われている土の多くは「真砂土」(花崗岩が風化してできた土壌)です。真砂土の特徴として、風化や水の蓄積によって表層の土が固くなってしまうことがあります。数センチ下にはやわらかい土の層になります。この特徴は、数年前に広島で起こった土砂災害にも関係しています。

水やりをする前に少し表土をほぐしてやると水が浸透しやすく良いと思います。


水を与えても傾斜があれば流れてしまうこともあります。暑い時期に植栽した木があれば、水鉢をつくってあげるのも手ですね。

植物にとっての夏と水やり

植物にとって、夏は緑を増やす時期です。

葉を増やすことで地面の温度を下げ、乾燥を防ぎます。また、夏場は日照時間が長い為、光合成が多くできます。

その一方で、葉が多くなると蒸散に水をいっぱい使ってしまうため、梅雨時期に伸びた新芽から枯らしてしまうようになります(新芽は弱い為)。

これは根と上部の能力のバランスにもよりますので、夏場に植栽や移植が適さない時期という要因になります。

不適な時期なのは、以下のような理由があります。

  • 切った根が乾燥しやすい
  • 水の吸い上げ能力が落ちる(ので新芽まで水が届きにくくなる)
  • 発根したばかりの根が枯れやすい

落葉樹は、樹木の活動が冬場に鈍くなるため、落葉時期に植栽や移植をすると良いです。

じゃあ、夏に樹は植えられないの?

となりますが、私たち植木屋はいろいろな処置を施して植栽します。

たとえば、木を掘り起こして植えるまでに葉の量を減らしたり、蒸散抑制剤を使用して蒸散を抑制したり、寒冷紗というシートで水を必要とする光合成を抑制したり、熱をあたえなかったりします。

植えるときにはたっぷりの水と幹巻きを行います。幹巻きは幹焼けを防ぐ効果があります。

植栽後は水を頻繁にやった方が良いので植栽時に作る水鉢は残したままにします。

水をたっぷりあげた方が良いと述べましたが、植栽時に水をあげすぎると翌年から癖がついて水を欲する木になるという話もあります。木によって水を欲しがる量も違いますので、「どのくらいあげればいいのかな?」と迷ったときには、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

水やりは、時間帯、場所、量に気を付ければ大丈夫!

基本を守って、植物が元気に育ちますように。